エレベーターホールからフロントを折れて進むと、レンタルサイクルの脇にチョークアートが描かれたボードを発見。
スタッフが描いたという優しいタッチの「E.T.」にほっこりしながら、バーカウンターが並ぶ左奥ラウンジスペースへと案内される。
「窓側のお席へどうぞ」
以前「窓際(まどぎわ」」と案内さえた別の店で微妙な気分になったことはどうでもいいが、非日常感が、言葉ひとつにも心遣いを感じさせる。
その窓側。まるで、ノイズキャンセリングがなされているかのように不思議なほど、道を歩くビジネスマンの靴音や行き交う車のエンジン音がしない。電動のシェードが動きクチポール(Cutipol)カトラリーのロゴが光る。
スライダーバーガーを頼み、また有松絞りのクッションを手に取ってみた。
少しくたっと使い古されたような手触りが心地よく、どこか安心感を覚える。
綿素材に手織り、草木染め。
日本人のDNAに刻まれた物たちに癒される。
チェイサーのコップも薄張りで水が滑らかに喉に流れ込み、皿に映る外のグリーンのシルエットや、グラスに差し込んだ光でテーブルにできたプリズムを見つめる。
心がもたらす余裕が、普段目に入らないものにまで、瞳がフォーカスし、ほこりを被っていた感性がひらいてゆく。
自分をいたわる時間と心の余裕、それが作る余白の大切さ。
料理が運ばれてくるまでの間、ゆったりとした気分で今までの生活を省みる。
インテリアもプロダクトも、本当に好きなものに囲まれて生活したいと再出発したのに、これがいいと拘っていたものは、これでいいに変わり、本当に好きなものは日常の忙しさを理由に埋もれていたかもしれない。
生活を心の面から豊かにするコツは、自分の大切にしているものを日常に溶け込ませることなのかもしれない。
この空間で目にするそれぞれが、そんなことを教えてくれている気がした。
ビーツとリンゴのサラダは、女性が大きな口を開けずとも食を進めることができる形に整えられ、彩りがそうさせるのか、はたまた心の余裕のなす技か?食べ終わった皿の景色すら美しく感じてしまう。
そして、スライダーバーガーは、少しビターなバンズに2種類のパティ。ビーフに、もう一つはホタテとエビだ。
バンズは試作を重ねてたどり着いたオリジナル(守山ベーカリー)。
粗挽きで挽き具合も推敲を重ね、味のバランスや挟む順番にもこだわったというパティは赤身肉に肉汁が閉じ込められ、前面に押し出てくる「肉食べてる感」が半端ではない。
バーガー特有の食べにくさや食べる時の見苦しさ(罪悪感)もなく、サイズも食べ方も全てに配慮がなされているようだ。
プチデセールの柿とパイナップルのブリュレは、あしらいに柿の果肉とパイナップル、カラメルソースの代わりにコンポートした柿が底に。
気づけば1時間半。こんなにゆっくり昼食を摂ったのは初めてかもしれない。
〒450-0002
名古屋市中村区名駅五丁目20番13
代表
レストラン直通
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