駅から離れる速歩と同調し、日常がぼやけてゆく。喧騒を煙に巻いてくれる非日常空間「ニッコースタイル名古屋」へ。
駅の階段を上がり、大きな道路を北へ。
らせん状の数奇な建物の筋を折れ、荷物を揺らしながら足を進める。
鮮やかに色塗られた名古屋という街の印象が徐々に薄れ、頭上に都市高の欄干が交差する地点に差し掛かったあたりから、雑踏が不思議と自分の靴音に飲まれるように消えていった。
扉が開き、天井に浮かぶ鯱鉾を後目に、奥へと進む。
時節柄顔に布を当てた出で立ち同士で挨拶を交わし、マスク越しの笑顔が語る説明に耳を傾け、部屋に向かう前に一息と、今抜けてきたロビーへ戻ってみる。
大きな嵌め込み窓が、たくさんの丸い天球を映し、広いその面に天体のように広がる丸い明かりは中と外を分かつ境界線をボカすように並んでいる。
今の今まで歩いてきた無機的な構造物が立ち並んでいた空間が、ホテルに入っただけで虚像に見えるのが不思議だ。
私の日常はあちら側に留め置き、私のマインドリセットが始まった。
〒450-0002
名古屋市中村区名駅五丁目20番13
代表
レストラン直通
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